今一番したいことは子(孫)育てです

 自分の子供が幼児の時は子育てというよりも、自分を作り上げる事だけで一杯でした、とても子供を一生懸命に育てているなどという意識は毛頭ありませんでした。そのわりには何とかまともに育ってくれたと思っており、これも私の人生がいかに強運であるかの、表れの一つかも知れないと思っています。なんと言っての子育ては人生の大きな目的の一つでしょうから。

 40代半ばの頃、時間的にかなり余裕が出てきた頃なのですが、自分の子供を再び作りたくてしかたがなかった頃があるのです。多分、自分の人生の形がようやく見えて来た時に、本当に子育てという事に意識がいったのであろうと思います。子供には大変に申し訳ありませんが、子育てと言うよりは、結婚の延長線上に子供があったような気がするのです。

 当然の事として結婚すれば子供はできる事でしょう。もちろん意識して子供を作らないと決めて生活している夫婦の方もいるとは思いますが、現実には例外と言っていいと思います。生活を合理的にしながらどのように子孫を残すかと言う事を、システム的に作り上げたものが結婚でしょうから。

 私たちの時代と言いましょうか、少なくとも私の場合は、子供を作る事を意識していたと言うよりも、子供は結果論であったような気がします。もちろん子供ができた時は大変に嬉しく思いましたし、感動もしました。しかしながら子供というものを意識して行動していたとは、どうしても思えません。

 自分がまだまだ未熟なうちに結婚したために、家族と言うものを抱えながら自ら修行をすると言う形になってしまい、生活費を手に入れながら、修行の場と時間を持つと言う事がいかに大変な事かを知りました。「人との出会い」の欄で述べたとおり、先輩のおかげでそのような環境を頂いた事に感謝と運の良さを感じます。

 男が一人で生活している時のお金の無さは何でも無い事ですが、家族を抱えてのお金の問題はやはり辛い事でした。現代社会の中では男が一人前として、経済的にも精神的のも自立するにはかなりの年月が必要で、それなりの年齢になって初めて可能のような気がします。もちろん個人差があるとは思いますが。

 現代のように男女間の交わりもおおらかで、お互いの生活もより分かり合えるようになれば、子供を作ると言う事もより冷静に対応できるのかもしれません。が、私の場合は何事も夢中であった様に思います、結婚生活というものも社会の中での色々なしがらみの中で、疲れるものだと感じた事を憶えています。

 いい訳みたいな事を申しましたが、ようは子育てというものを意識して行わなかった、と言うよりも行えなかったと言う方が正確と思いますが、やはり自分の意識に余裕が無かったために、自分を作りあげる事で手が一杯で、子供の教育まで時間から全ての余裕が無かったと言うのが実情であったと思います。

 それではなぜ結婚をしたのか、という疑問が出てくるかもしれませんが、それも時代と言うものだと思います。女性も25歳になると売れ残りのクリスマスケーキ(24)などと言われ、早く結婚する事を何となく圧力をかけられた時代です。私の場合はそういった社会現象とは別に個人的事情もあったのですが。

 子供は男の子二人で、その子供に不満があるわけではありません、というよりも大変に満足しています。とは言いながら改めても一度チャレンジしたいとも思うのです、やはり成長していくものへの魅力とも言えるかもしれませんが、それよりもやり残している様に感じているといったほうが正確かもしれません。

 では具体的にどのように育て教育しようと言うのですか?と質問されると、現実には返答に困るのも事実です。自分の中で何かその様に思い込んでいるだけと言うのが又本当の所のような気もしてきました。こうやって文章を書いていますと、思いがけない方向に文が向いてしまう事もあるのです。

 自分が思い込んでいる事を改めて表現してみると、いかにあやふやな事であるかと知らされる事もあるのです。結局は自分の寂しさを慰めるためにその様に思い込んでいる事に気づいたりするものなのです。子供()のためと言いながら結局は自分のために行動しているのかも知れません。

 結局、人生自分の自己満足という事からはみ出す事ができないのかも知れない。と、書きながら改めて思ったりもしています。何か自分が思い込んでいた方向から書いていることがどんどん離れていっている様に感じます、こんなはずではなかったのにというのが本心です。(困ったなあ)

 改めて表現すると、男の子とはテニスを一緒にやり、女の子とはダンスを一緒に踊りたいという事ぐらいしか、具体的には出てこないというのが正直のところかも知れません。早く孫はほしいよとサンザン子供に言っていたのはなんだったのかと思いだしました、単に可愛がる対象になる者を求めているに過ぎないのかも知れない、と今気が付いたところです。

 現実に孫ができるには後5年ぐらいは必要のようです(子供の状態からみて)。女の子がクラブで踊れるようになるには少なくとも15歳にならなくてはならないでしょうから、あと20年後ということになりますね、私は75歳という事になります。75で軽やかにステップを踏むとなると、かなり体を作り続けないとならないなあ。

 男の子でテニスを一緒にやれるのは、せいぜい、1213歳ぐらいまででしょうね。その後はボールのスピードについていけないでしょう。男の子にしても女の子にしても、接して教えてあげられるのは趣味の世界だけかも知れませんね、書きながら心も沈んで文にも張りがなくなっていくのを感じます。

 文を書き始めた時は、自分にできなかった子供の教育というものをとうとうと述べるつもりでした。が、実際に書いて見ると具体的な事など何も書けませんでした。子育てというものは親の背中を見せていれば、それだけで良いのかも知れません。今改めてそんな風に思います。


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