正味期限の切れたおばさんと味わう事の出来ないおじさんの会話

 私と同じぐらいの年齢でしょうか?いやもう少し上かも知れません。私が時々訪れるサウナでマッサージをしてくれる女性なのですが、その会話がなかなか面白いのです。東京の新宿歌舞伎町というおそらく世界でも名だたる繁華街で、下ネタ系の店が乱立する町のど真ん中にあるというところが影響しているのかも知れません。

 場所柄、ラブホテルで働いている方とか、それに近い関係の所で働いている方が多く見られるようなのです。私もテニスをする様になってからサウナをよく利用する様になり、並行してマッサージを受けるようになったのです。ふとしたきっかけでこの新宿のサウナを利用する様になって、1年半ぐらいに成るでしょうか?

 腰を痛めジムに通うようになって3年です。最初はほとんど体の変化は見られませんでしたから、筋肉がつき目に見えて変化して来たのはここ2年ぐらいです。その変化の一番激しい時期に体に触れマッサージをして来たのですから、マッサージのプロとして面白くもあった様なのです。50代半ばの男が変化して行く事の面白さもあったのでしょう。

 全盲ではないのですか、目は若い時からかなり不自由だったようで、本格的に指圧を学ばれた方の様で上手なのです。仕事の疲れでマッサージに見えられる方はいるようなのですが、スポーツの疲労で来ると言うのは場所がら私だけの様なのです。その上、目的意識がはっきりしているので色々と要求が激しいのが、逆に面白いらしいのです。

 まあ、マッサージ師としてのプロ意識を久々に刺激されたと言う所かも知れません。私の筋肉の付き方と同時に疲労の仕方も変化して行く訳ですから、マッサージによる痛む場所も又変化して行く訳です。そして、ここに筋肉が付いたとかあるいはやせたとか、色々とアドバイスをしてくれるわけですから、私にとっても大変な参考になる訳です。

 とは言え、それなりに長くなりますと、冗談の一つも言うようになり、最近の口癖は「賞味期限が切れたおばさん」という言葉なのです。ですから何を言われても平気だし、又何でも言えるという事でもある訳でしょう。つい先日、私も言葉が返ったのです「味わえなくなったおじさん」だからな、「どんなご馳走も眺めるだけじゃねえ」。

 となりのベッドの客が思わず吹き出すのです、それまでも私達のやり取りを面白がって聞いていた様なのですが、こらえきれなくなったと言うのが本音でしょう。場所柄エッチな話も多いのですが、その一つに「すいちょ」とは中国語で「寝る」という意味の様なのです。「睡覚」と書くようなのですが、女性を誘う時も使う下品な言葉でもある様です。

 中国から働きに来ている若い女性が多いので、色々と言葉を教わったのですが、まるでダメで唯一覚えた言葉が「すいちょ」であり、後は「しぇい、しぇい」でしょうか。その中国女性とお客とのやり取りです、「お客さん、どこか凝っている所はありますか?」「股間の真中」「あ、そこはセルフサービスでお願いします」。

おもわずふき出し、笑いをこらえるのが大変で、マッサージになりませんでした。トウヘンボクの私には「未知との遭遇」が多く、付加価値の高い話が多く聞かれます。柔らかくありたい所が硬くなり、硬くありたい所が・・・ 人生、まま成らないなあ!


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