挑戦、又も失敗

 美容師の若い男と一緒にクラブに行って来ました、久々です。いつもの美容室で働いている子で、師匠のカットの合間に手伝いながら雑談をしていた訳です、何時の間にかダンスの話になり「今度一緒に踊りに行こう」と言う事になった訳です。もちろん、若い彼にはダンスとは又別な目的もある訳で、そんな話も出るのも男なのでしょう。

 45年前でしょうか、青山に「アポロ」と言うクラブがあったのです、金曜や土曜の深夜には青山通りに数十mの行列が出来るという盛況ぶりでした。その店の店長と親しかったおかげで予約と言う事で並ばずに入れたのです、よく行って踊っていましたが、その店の閉店と共にそんな機会も無くなって行った訳です。

 最近は不良中年を目指している男としては、どうしてもクリアしておかなくては成らないと思っていた事があるのです。私は未だかって「ナンパ」と言うものを経験した事がありません、若い時はそういった環境にありませんでしたし、内心深い思いはあっても方法すら知りませんでした。チャンスが巡って来たとも思えたのです。

 若い彼には「お手のもの」の様なのです、自称「ナンパ師」と言っていますから、私は弟子にしてもらった訳です。事前に色々と手ほどきを受けましたが「青山のマンションで暮らしたくないか?」と言ってはいけないとの事です。それはルール違反だと言うのです、やはり何事も「その道の掟」というものはあるものの様です。

 土曜の深夜に待ち合わせ連れていかれた所が、アポロが閉店した頃に行った事のあるクラブで、以前「若い男性との雑談です」の欄で書いたモデルの男性と行った所です。又、内装が一変して雰囲気も多少変わってはいましたが、とは言え同じ店ですからなつかしくもあった訳です。かなりの数のクラブがあると思うのですが同じというのも・・・

 彼の友人と言う男の子が三人(サッカーのコーチ25歳、大学院生23歳、国立大生20)、クラブで合流し飲みながら話し始めたわけですが、皆そこそこにフロアーに出て踊りだしたのです。私も後ろに付きながらフロアーに出たわけですが、そこは昔取った杵柄です、若者より上手にのり出し、その中に溶け込んでいったのです。

 同行の若者は一様に驚いた様です、汗ビッショリになってテーブルに戻ってからは、逆に話しに花が咲き出したのです、私も口が回りだすとなかなか演説が止まりません。美容師のナンパ師は次々と女性をテーブルに連れて来るのですが、男どもは私の話に耳を傾け、どうしても女性を粗末にしてしまう有様です。当然、女性は去るわけです。

 私も女性に話すよりは男性に人生談義を説く方が面白いのです(女性も時にはいますが、数は絶対的に少ないです)、私はいつもの事ですから特別な感じはありませんでしたが、若い男が私の話に耳を傾け、女を無視したのには驚きました。逆に言えば女性との行為は日常になっており特別な事では無く、私の話しの方が珍しかったと言う事でしょう。

 とは言え、私は又しても失敗です。クラブでももてたのはやはり男でした(意味が違うぞ)、口は災いの元とは言いますが、踊る事にするか、話をするか、どちらにしても極端な様なのです。まあ、飽くなき挑戦を続ける事にしましょう。


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